天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 - 文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」(平成23~27年)

天然物ケミカルバイオロジー次々世代

東北⼤学⼤学院農学研究科 D3
工藤雄大

研究内容

生合成経路の解明を目指したフグ毒テトロドトキシンの新規類縁体、生合成中間体の探索
テトロドトキシン (tetrodotoxin; TTX, 1) は電位依存性ナトリウムチャネルを強力かつ選択的に阻害する神経毒であり、世界中で食中毒事例が報告される。高度に架橋した構造が自然界でどのように構築されるのかは予測が困難であり、TTXの生合成経路は未だ解明されていない。ラベル化合物の投与によるTTXの標識実験は成功例がなく、遺伝子解析から生合成経路に言及した研究もこれまでない。そこで、TTX類縁体の化学構造が生合成経路を反映していると考え、生合成経路解明の手掛かりとなる新規TTX類縁体(生合成中間体)の取得を目指した。
所属研究室ではTTX類縁体の一斉分析が可能なHILIC (親水性相互作用クロマトグラフィー)-LC-MSの分析系を開発していた。私はこのHILIC-LC-MSを用いて、TTX類縁体に特徴的なフラグメントイオンを指標とした網羅的な新規成分探索を行っており、これまでに様々な新規TTX類縁体をフグ、イモリから同定してきた。その中でも、有毒イモリから得られた化合物2の特徴的な骨格構造に着目し、イモリにおける新たなTTX生合成仮説を提唱した。現在は推定経路における更なる生合成中間体 (下図; Next Target) を探索中である。

研究者としてのひとことアピール

天然から化合物を得るという古典的な研究ではありますが、TTXが長年研究対象とされてきたとあって、新たな化合物や知見を得るのは一苦労です。私は新規化合物を得るために質量分析器 (LC-MS) を活用した探索法を構築し、様々な未知成分を発見してきました。また、生合成中間体の探索においては天然に極々わずかにしか存在しない成分を検出、単離、構造解析しなければならないため、微量成分の取り扱いには自信があります。

将来の夢

天然化合物には途方もない時間を経て生物が獲得した生存戦略が凝縮されています。天然物の構造や生合成、機能を正しく理解することは、それだけ難しく、魅力的なテーマです。私はこれらの謎をひも解き、その有用性を引き出せる研究者を目指したいと思っています。卒業後はまずアメリカでポスドクとして修行する予定で、研究分野の拡大を目標にしています。


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