天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 - 文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」(平成23~27年)

天然物ケミカルバイオロジー次々世代

京都⼤学⼤学院薬学研究科 D4
今野翔

研究内容

アデニレーションドメインに対する活性部位指向型プローブの開発と応用
 微生物が産生するペプチド性天然有機化合物の多くは、非リボソーム性ペプチド合成酵素(NRPS)によって合成されます。そのため、微生物プロテオーム中に存在するNRPSを網羅的にプロファイリングできれば、これら生合成酵素を直接検出・解析することが可能になるだけでなく、新規二次代謝産物生合成経路の同定に繋がります。しかし、これら酵素群に対する特異的な検出・評価法は存在していないため、プロテオームレベルでの解析は容易ではありません。
 アデニレーション(A)ドメインは、基質となるアミノ酸を選択するドメインであり、厳密な基質特異性を有しています。私はAドメインの厳密な基質特異性を利用すれば、Aドメインを指標にNRPSを選択的に標識化・検出することが可能になると考え、Aドメインに対する活性部位指向型プローブを開発しました。本プローブは二次代謝産物生産菌プロテオーム中に存在するNRPSを選択的に検出可能であり、リガンド部のアミノ酸を置換することで基質特異性の異なる個々のAドメインを標識化できることを明らかにしています。
 今後は、本プローブのライブラリーを構築し、微生物が発現しているNRPSの包括的なプロファイリングを行い、微生物の二次代謝産物産生プロセスをタンパク質レベルで理解していきたいと考えています。

研究者としてのひとことアピール

前述の研究では、プローブの合成から、化合物の活性評価、タンパク質を対象とした生化学実験、微生物の培養と幅広く実験を行っています。また、私はこれまでに有機合成、特にペプチド化学を基盤とした研究にも従事しており、有機合成化学を軸にケミカルバイオロジー研究を展開しています。

将来の夢

私は合成した化合物を用いて、これまでの手法では解明できなかった生命現象を明らかにしていくことにやりがいを感じています。しかし、研究を進めていく中で自分の興味がめまぐるしく変わっているのも事実です。そのため、将来どんなテーマを扱うかはわかりませんが、自分の根幹である化学を起点として既成概念にとらわれない研究をしたいと思います。


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