天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 - 文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」(平成23~27年)

天然物ケミカルバイオロジー次々世代

京都⼤学物質-細胞統合システム拠点 化学研究所 D4
高屋潤一郎

研究内容

痛みセンサーTRPA1のサイト選択的アゴニスト
痛みセンサーのひとつであるTRPA1は、ワサビレセプターとしても知られる陽イオンチャネルです。より正確には、ワサビの辛み成分であるアリルイソチオシアネート(AITC)をはじめとした、親電子性をもった多くの薬剤によって活性化を受けるチャネルです。TRPA1を活性化する親電子性試薬は、TRPA1のシステイン残基を修飾することがわかっており、結果として、TRPA1の構造変化を誘発していると考えられています。TRPA1上で、親電子性化合物によって修飾を受けうるシステイン残基は複数知られていますが、現在までに、特定のシステインを選択的に修飾する化合物は報告されていません。
今回、親電子性の化合物で構成された化合物ライブラリーから、複数の新しいTRPA1特異的アゴニストを見つけるとともに、TRPA1のあるひとつのシステインに選択的に結合する化合物JT010を同定しました。

研究者としてのひとことアピール

上記研究を通じて、スクリーニング系の立ち上げ、有機合成展開、生化学的手法を用いたターゲット決定やメカニズム解析まで、一通りこなしてきました。将来的には、ユニークな小分子の同定、作用点不明な小分子の解析など、よりチャレンジングな仕事にも貢献できるのではと考えております。

将来の夢

もし私の研究者としての軸足がChemistryとBiologyどちらにあるか、という問いがあったならば、Biologyにあると思います。ですが、ケミカルバイオロジーという分野に倣って、自分の専門はこれだと絞らず、CとBの両輪で進んでいきたいと考えています。とはいえ、まだまだ経験が足りないと自覚しております。今回はワサビ(のレセプター)に関する研究でしたが、ワサビのようにスパイスの効いた研究が出来るよう、これからも精進して行く所存です。


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