天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 - 文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」(平成23~27年)

天然物ケミカルバイオロジー次々世代

慶應義塾大学大学院理工学研究科 基礎理工学専攻
ケミカルバイオロジー研究室(井本研究室)・D1
齋藤 駿

研究内容

ホルモン療法抵抗性前立腺がんに対する耐性克服戦略
前立腺がんは、男性ホルモンがアンドロゲン受容体(AR)に結合し悪性化します。よって、この結合を阻害するARアンタゴニストがホルモン療法剤として用いられています。しかし、既存薬は種類及び化学構造が限られており、長期投与により耐性を示す変異体ARの出現が問題視されています。そこで、既存薬とは異なる構造のARアンタゴニスト取得を目指し、構造多様性に富んだ化合物を含む「天然物」に注目しました。in vitro でのARへの結合活性を指標にスクリーニングを行った結果(図1)、放線菌より2種類の新規化合物を取得しました。これらの化合物は光や酸に非常に不安定なため、CPC及びHPLCを駆使することで、安定的に精製することに成功しました。一方、天然物の有用性と比較するため、in silicoスクリーニングも行ったが、in silicoスクリーニングで取得した化合物はお互いに構造が類似し、薬効は低いものであったことから天然物スクリーニングの有用性が示されました。さらに、各種変異体ARを作製し、レポーターアッセイにて既存薬に対する耐性克服活性を評価しました。その結果、私が見いだした天然化合物は耐性克服活性を有することがわかりました。以上より、新薬創製には天然化合物が持つ構造多様性が重要であると考えられます。

研究者としてのひとことアピール

私は、前述の研究が「天然物ケミカルバイオロジー」研究の「魅力」と「可能性」を強く感じた大きな経験となりました。そこで今後は、天然物ケミカルバイオ ロジーの手法を創薬研究だけにとどめず、社会の抱える諸問題(食糧、エネルギー、環境問題など)を解決する研究へと波及させていきたいと考えています。現 在、前述の研究内容とは異なるこのようなテーマを立案し、チャレンジしています。

将来の夢

将来どのような研究をしていきたいという明確な方向性は定まっていませんが、たくさんの研究者の方々と交流していく中で、どのような研究をするのか、すなわち自らの生き方を模索していきたいです。

 

 


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