天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 - 文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」(平成23~27年)

天然物ケミカルバイオロジー次々世代

東北大学大学院理学研究科 D2
江越 脩祐

研究内容

コロナチン(1)は、1977年に植物病原菌から得られた天然物であり、植物に対して様々な生理活性を示す。コロナチン(1)は植物に対し、根の伸長阻害、葉の黄化、つるの屈曲など、植物ホルモンであるジャスモン酸と同じ生理現象を引き起こし、かつ、ジャスモン酸よりも100-10000倍ほど強い活性を示すことが知られている。一方、コロナチン(1)には、気孔の開口を誘導する作用も知られている。しかしながら、コロナチン(1)とほぼ同じ植物生理現象を引き起こすジャスモン酸は気孔開口活性を示さず、ジャスモン酸の代謝産物であるジャスモン酸メチル(2)には、むしろ気孔を閉鎖させる活性が報告されている。

私は、コロナチン(1)はジャスモン酸類受容体とは別種の新規受容体と結合して気孔の開口誘導活性を示すのではないかと考え、コロナチン(1)の受容体タンパク質の探索、および、作用機構の解明を行っている。

研究者としてのひとことアピール

コロナチン受容体探索において、育てた植物に対し、合成・精製したサンプルを用いてアッセイを行っています。そのため現在は、天然物・類縁体、そのプローブ化、コントロールとして用いるそれらの鏡像体を合成、および、合成物の分析・精製をメインで行っている、アッセイの得意な合成化学者です。

将来の夢

私が研究者を目指す動機は、当然研究が好きだからです。未知なものへ触れた時の高揚感や、理論的な話を組み立てる楽しさは他に追随するものがないと感じています。特に、小さな化合物、分子量が500以下の生理活性物質が生物応答を制御しているという事実に胸を熱くさせられています。生理活性物質が及ぼす生物応答メカニズムは未知のものが多く、博士号取得後、私は、このような未知なる生命現象の解明を行う基礎研究に従事していきたいです。


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